赴任先:アメリカ(ニューヨーク)
滞在期間:14年目
通学先:現地校
日米で感じる違い
最近一番違いを感じるのは空港のセキュリティチェック。必ず手荷物がモニターに引っかかり中身を検査されるのですが、
「これはなんだ?」
「おにぎり。ライスボール。」
と答えると検査官がにっこり。おにぎりが複数重なると爆弾のように映るのかもしれません。「アニメで見たことある」と返してくれる検査官もいました。
今年はテキサス州でお正月を迎えましたが、元旦0時の花火に混じってどう考えても拳銃の音がしていました。アメリカは広く、文化や歴史、移民人口・人種も多様で、それぞれの街がユニークな発展を遂げています。
例えば10年前のテキサス州ヒューストンでは、レストランで「ベジタリアンメニューはありますか?」と聞いたら「ここは肉の街だ、間違ってるぜ」と言われ、じゃがいもだけ食べた経験がありました。今ではニューヨーク以上に美味しいベジバーガーがあり、移民人口の増加に伴ってベジタリアン料理も豊富になっています。
学校教育の違い
最も驚いたのは、家族が集まって学校法人を設立できる点です。娘の通うシュタイナー学校は約20年前、8家族が幼稚園のプレイグループから始め、現在では8年生(日本の中2)まで約250人が通う学校に成長しました。校舎の家賃など経費はかさみますが、裕福な家庭からの数百万円単位の寄付により維持されています。
また Co-op(協同組合方式) の学校もあり、教師と保護者が共同で経営するケースも存在します。ニューヨークという大都会の多様な価値観を反映するかのように、教育の選択肢も非常に多岐に渡ります。保護者の意見が強すぎることは社会的な課題ですが、率直な話し合いのミーティングが学校と家庭の間で設けられるのは健全な仕組みだと感じます。
教育の中での思い出と気づき
幼稚園や低学年の頃は、折り紙や巻き寿司を作ったことも良い思い出です。一方で日本育ちの保護者として痛感するのは、戦後教育の影響で「日本のルーツを認識し、分かち合う能力」が欠けている点です。
最近『<復刻版>初等科国史』を読み、先人たちが培ってきた「国を愛する心」の原点を垣間見ることができました。娘は生まれも育ちもアメリカなため、今後アイデンティティを求めて葛藤を経験するでしょうが、日本のルーツに誇りを持ち、たくましく生きてほしいと願っています。